Meat Packing District


マンハッタンの西側、ハドソン川から14丁目を2ブロックほど東に入るとまだまだ閑散とした街並みを生臭い肉や魚の臭いが立ちこめる一角がある。道路は80年代を感じさせる石畳で、交差点には信号も無い。ここが今流行の!と感じさせない雰囲気だが、実はここが今流行のミートパッキング・ディストリクトである。マンハッタンでの同時多発テロ後にファッションブティックやギャラリーが多数でき、急速にアートな地域に発展したが、一昔前までは読んで字のごとく、精肉屋が多く立ち並ぶところだった。


確かに、店の看板にはMEATの文字が目立つ。かなりの数の肉屋はもう店を閉めているようだが、なんとも言えない肉の臭さがある。セレブ御用達の店が並ぶと聞いて出かけてみたのはいいものの、セレブどころか道で座ってなにやら作業をしているおじさん達が目立っている。バーやクラブらしき場所はいくつかあるが、昼間は開いておらずとても静かで車の通りも少なく、かなり寂しげである。ちょっと間違えたか、と地図を見直したくなるほどだったが、確かにここはミートパッキング・ディストリクトである。少し西に入ってみることにした。


12丁目から14丁目にかけて歩いてみると、この趣のある石畳と通りとはあまり似合わない高級ブティックやセレクトショップが立ち並んでいた。店の中をのぞくと、いかにも高級そうなブティックやハイセンスな店内のセレクトショップが若い人やセレブ達でにぎわっている。どの店もソーホーなどのショップと違って、店内が広々としている印象を受ける。外とショップやギャラリーの雰囲気にあまりに差があるため、ショップは余計に未来的に見え、そこでショッピングをしている女性はなぜかセレブに見えてくるものである。近くのカフェやレストランの店構えも非常にお洒落で格好よく、トレンドに敏感なニューヨーカーを引き付けるものがあることを感じた。



とはいうものの買い物スポットとしてはまだまだ発展途中のミートパッキング・ディストリクト。今後はチェルシーのようにギャラリーの数も増えていくようで、近くのチェルシーと合わせて大きな観光スポットに発展することは間違いない。それと合わせてこの石畳の道路が整備され、生臭い臭いがこの地域から完全に消えてしまうのかと思うと少しもったいなく感じる。ニューヨークに来たら一度は訪れる価値のある買い物スポットである。

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